『ケーキなどいかが?』
主な登場人物…長男タカシ(高校2年) 次男トオル(中学2年) 三男アツシ(小学4年) その父、母(私)
1998年度現在
【お礼参り】
毎年正月の恒例だが、今年も家族で芝山仁王尊に初詣に行った。
夫はなにやら願を掛けていたが最近いいことがあったらしい。
夫「今度芝山仁王尊にお礼参りにいかないと。」
タカシ「えっ、何かやられたの?」
……
【『のりか』だろーが……】
夫の仕事は朝の始まりが遅くて夜の終わりも遅く、当然朝食は午前9時前後。かけっぱなしのモーニングショーの食卓で、またチョー運が悪いと掃除機のかたわらで食べることになる。
その日はモーニングショーの日だった。
わたし「こんな番組ばかり見ていると、芸能関係に詳しくなっちゃうでしょ」
夫「もう十分詳しいよ。世良といったら正則だろ、松田といったら聖子だろ、尾崎といったら紀世彦だろ……」
わたし「藤原といったら?」
夫(早押しクイズのごとく)「鎌足」
わたし「……」
【天国でのひとこま】
夫と長男、次男がそろってスキー教室の引率?で、2泊3日の留守である。食の細いアツシと私が残り、何を作っても張り合いがないというのは表向きで、各自バラバラの時間に「腹減った〜」という家族たちがいないのをいいことに、適当な食生活、気ままな生活(といっても仕事はあるんだけどね)を決意。
見たいテレビは見られるし、食事の片づけはほとんどないし、天国天国。
アツシも気ままにゲームができるし兄弟喧嘩も当然発生しないしで、これまた天国と言う。
●夫が手みやげ代わりに買ってくることがあるが、いつもあれよあれよという間になくなってしまう『コンビニおでん』を、私は生まれて初めておなかいっぱい食べることができて、とっても幸せであった。
●しかし、レンジで作る冷凍総菜を作っても、アツシはバレリーナくらいにしか食べないので、結局残りは全部私が食べることになってしまった。
●それでもすっかり手抜きに味をしめた私。皆が帰ってくる日の夕飯も外で食べてくるとの連絡が入り、「では後片付け不要のコンビニ弁当を買いに行こう!」と、連ちゃんでコンビニへ。
アツシはイクラと明太子のおにぎりがいいと言う。
わたし「もっと肉っぽいおかずやサラダも食べなさい。ほら、これなんかどう?(唐揚げパック)」
アツシ「うーん、それだったらこっちの方がいいな(お弁当用ミートボール)」
わたし「こっち(唐揚げパック)の方がいいよ」
アツシ「なんで、ボクはこれなら食べたいけど唐揚げは食べたくないんだ。どうしてミートボールじゃだめなの!?」
わたし「唐揚げパックならこのまま食卓に出せるけどミートボールだとお皿が1枚汚れる」
アツシ「…………あきれて言葉が出ないよ……」
(もちろん私は反省して、袋から出してすぐに食べられるミートボールを買った。しかしバレリーナの食欲しかないアツシは結局食べられなかった。ここで、私がそれを食べたのだろうと想像する人は残念ながらはずれである。なぜなら天国最後の晩餐に、1枚のお皿を出す必要性が本当に生じるまで、私は待つつもりだったから。)
●しかしコンビニおでんと残り物食べ放題の3日間にはすごく後悔している私である。しばらくの間、1日1食はこんにゃくそうめんのラーメンもどき(注)を食べなければと決意した。
注)そのままでも食べられる生協の「こんにゃくそうめん」というものがある。
添付のタレの味には飽きるので、ダイエット食品代わりに工夫して、いろいろなスープで煮込み、最後にトウバンジャンや七味唐辛子を加えて体内の脂肪を燃えやすく(私はそう信じている)した献立。
残り野菜を入れたり、卵を落として半熟状態にすることもでき、バリエーションに富んでいる。
これのいいところは、ヘルシーなのはもちろんだが、残り物の味噌汁、ラーメンスープ、すき焼きのたれの残りなど、味のあるスープ状のものなら何でも利用できることである。コツは、こんにゃくそうめんにはしらたきにするように包丁を入れ、臭みが取れるまでよーーーく水洗いすることである。
●天国のあとには大体地獄がつきもので、一度に干しきれない洗濯物や、手抜きになれてしまった家事の苦痛などが津波のように押し寄せてくるのだが……でも年に2度くらいあるこの主婦の天国、これがなきゃやってられませんよね〜〜! 人様のお世話ばかりが仕事の主婦なんて。
【両親の弱み−似た者夫婦−】
……アツシの作文……
「十年後のぼく」
ぼくは二十歳になった。これで、ビールが飲める。ぼくは、ビールを飲んでみた。
「うまいけどにがい。にがいけどうまい。」
ぼくは、運転免許をとった。とったといっても、もう2年も前にとった。
ぼくは、外食に行った。酒を飲もうとしたけど、飲酒運転になるからやめた。
そして、帰るとき、信号がまだ黄色だったから、まにあうと思ってそのまま行ってしまった。
そして、ぼくは、家に帰った。そして、信号が黄色のときに気にしないで行ってしまったのは、まずかったかと、少し考えてから、
「すぎた事は気にしなくていいか。」
と言ってねた。
***************
……これを読んだ私は、ドキッとした。
……夫に見せたら、「これオレのことじゃん……」とつぶやいた。
【マスクとバタピーの関係】
風邪気味なのでトオルとアツシを車に乗せて移動中、マスクをしていた。
途中、トオルに買い物を頼んだら自分にお駄賃だと言って大好物のバタピーを買ってきた。
トオル「モグモグ……うまいっ! 食べる?」
アツシとわたし「ちょうだい」
わたし「もぐもぐ…マスクをしながら食べるとどうしてマスクがずり落ちるんだろう……」
アツシ「ボクもそういうことあったよ。口を開ける時の方が、しめる時より速いからじゃない?」
わたし「もっと食べてみよう(もらって食べる)」
みんな「モグモグ……」
トオル「重力の関係じゃない?」
わたし「それじゃ、逆立ちして食べるとマスクは目の方にずれるかなあ……?」
トオル「たぶんそうなる」
わたし「帰ってからためしてみよう」
アツシ「ママが逆立ちするんだよ」
わたし「えーっ! ママはできないから、トオルやってよ」
トオル「……バタピーがもうない……」
(他の食べ物で実験してみても良かったんだけれど……。本当にどうなるだろう。)
【ご飯とおかずが混ざり合う美味さ】
トオル「(食事中)最近おかずとご飯が口の中で混ざり合う美味さを知らない子供が多いんだってね」
わたし「ああ、アツもタカシもそういうところあるよね。」
トオル「(もぐもぐ)なんでこの美味さがわかんないんだろうね、もったいない!」
わたし「そういう人って、味が混ざり合うのがすごくいやみたいよ。アツなんか水で口の中のものを流し込むのだっていやがるもの」
タカシ「ボクの理由はちがうよ。茶碗を持ち替えるのが面倒なだけだよ」
みんな「……(それはタカシらしい)……」
【目の化粧の理由】
スキーで日焼けしたので、顔のマッサージをしたら、翌朝皮膚に元気が甦ってきたような気がして嬉しくなり、思わず化粧が念入りになり、ビューラーでまつ毛をカールさせ、マスカラまでつけてしまった。
わたし「(アツシに)ねえねえ、今日のママどこか違わない?(目をぱちくり)」
アツシ「(近寄ってきて)なんか目がコワイ」
わたし「少女マンガみたいでしょ。目が輝いてまつ毛がピラピラして」
アツシ「うん(少女マンガの目を紙に描く)。こんなふうだ」
そこへタカシがやってきた。
わたし「ねえねえ、今日のママ、どこかちがってない?」
タカシ「べつに」
わたし「目がいつもと違ってるでしょ?(ばちくり)」
タカシ「いや、いつもと同じだよ」
わたし「そーお! まつ毛をカールさせて、マスカラまでつけたのに……」
タカシ「(まじまじとわたしの目を見て)何のために?」
わたし(まあそう言われちゃったら、特にわけなどないんだが……)
【どらえもんオタク】
A「(Bのやってるゲームのキャラクタを見て)おい、このキャラクターさ、ドラえもんのブリキのラビリンスにでてくるナポちゃんに似てない?」
B「あはは、ほんとだ似てる!」
わたし「どのキャラクター?」
B「ああ、もう消えちゃったよ。(解説書をめくって)こいつだよ、このボス」
わたし「へーえ。でもナポちゃんを知らないからわからないや」
A「そういえばドラえもんに出てくる『できすぎ君』の声がTRFのボーカルに似てるんだよ。リトルスターウォーズに『できすぎ君』がしゃべるシーンがあるんだけど、あのビデオどこにあるかなあ、ママ、一度聞いてご覧よそっくりだから(一生懸命さがすけど見つからない)。」
名誉のために匿名にしたが、言ってる内容で誰かはわかっちゃうかもね。
【ワイドショーの離婚話】
子供達は冬休み。朝食を食べながらなんとなくかかっていた朝のワイドショー番組で、「大俳優と女優の離婚が成立、その課程を大検証」などと言っている。
わたし「くだらないな、何か他の番組やってないの」
トオル、チャンネルをいろいろ変える。
わたし「のりピーの結婚相手? あ、これがいい」
トオル「これだってくだらないじゃん」
……たしかに……。
その時、離婚話の方はもう飽きていただけだった自分に気づいた。
【盲目のミュージシャンとサタディナイト・フィーバー】
日曜日の朝8時からの子供の見る番組に、スティービーワンダーとか、トラボルタというキャラクターがでてくる。音楽好き、映画好きのスタッフが製作しているのだなあとかねてから思っていたら、それは私の勘違いで、なんと、素速い動きの「スピーディーワンダー」と、トラのキャラクター「トラボルト」が正解だった。
でも一番おかしいのは、マイティワンダーという暴れ者のキャラクターが、なぜか「ショスタコーヴィチ交響曲第5番」とともに現れるところである。
製作者はやっぱり音楽好きの、またユーモアを解する?スタッフなんだろう。
(アツシはショスタコの5番にのってマイティワンダーが現れる面白さがわかってないみたいだけど)
【あるアイスの食べ方】
棒つきアイスを車の助手席で食べていたアツシ。
「あ、おちちゃった」
「どうしたの?」
「アイスが落ちたんだよ」
「どこに」
「ビニール袋の上」
「それをどうしたの」
「拾って食べた」
「(見ると根もとの方は原型をとどめている)なんで棒つきアイスが落ちるのよ」
「さあ……?」
「変な食べ方してたんじゃないの?」
「どんな?」
「例えばアイスに「くびれ」ができるように食べるとか」
「ぎくっ」
「妙な食べ方すんな〜!」
【ホタテで筋肉痛?】
月曜の朝、お腹が痛いから治ったら学校に行くというトオル。しばらくして起きてきて、
「腹が筋肉痛だったみたいだ」
「なにか変わったことしたの?」
「土曜日に部活で筋トレやった」
「なんだ、じゃあ早く学校行きなさいよ」
「えーと、何食べたかって聞かれたらなんていおうかなあ、夕べ何食べたっけ……ホタテか……(いただきものの上等なホタテであった)いいや、カレー食べたっていっとこう」
「カレーでお腹こわすことなんかあまりないから、ホタテ食べましたって言えば?(筋肉痛なんだけどね」
「いや、いつもホタテばっかり食ってると思われるといやだからカレーでいいよ」
「いただきもののホタテ食べましたって言えば?」
「いや、いつもそんな上等なものばかりもらっていると思われるといやだからカレーって言う」
……帰宅後
「先生に何か言われた?」
「いや別に。もう治ったのかって言われただけ」
「そう、良かったね」
「何も言われないっていうのもさびしいもんだ……」
(まあ確かに一生懸命考えたもんね)
【キミはふざけてはいけない】
地元の剣友会に、時々来日する外国人が入ったという。夫とアツシ、その話題でもちきり。
夫「S先生が英語話せるから、一生懸命教えてるんだけど、「こて」とかわかってやってるのかなあ」
アツシ「わかってないんじゃない? 「ことぇ」とかいってたね」
わたし「『こて!』って言わなくてもわからないんじゃない?「こぺ!」って言ったって」
(笑)
アツシ「絶対わかんないよ。「や〜〜、メーン!」の代わりに「ラーー、メーン!」と言ってもばれなかったもん」
【思い出の手袋】
片方だけの革手袋がでてきた。
わたし「これどうしようかなあ……」
夫「片方しかないの?」
わたし「そう……」
夫「そんなのとっといたってしょうがないから捨てちゃえよ」
わたし「だって、この手袋、思い出の手袋なのよ」
夫「どんな思い出よ」
わたし「結婚する前にあなたと一緒に買った……」
夫「へえ……どこで買ったっけ」
わたし「忘れた」
夫「そんなの思い出でも何でもないよ、捨てちゃいな!」